第2回目は、MICE企画編です。講師は1回目と同様梶原貞幸氏で、具体的なMICE企画の立て方について講義しました。

MICE誘致とは、都市のマーケティングであるといえます。国内で考えると東京や大阪に比べて距離・費用・時間という面でハンディがありますが、グローバルな視点で考えると、東京と札幌の時間・距離の差は何ともないと考えられます。

では、MICE都市として急激に伸びているアジア各国の都市とどう札幌が戦っていくのか。勝つためには、主催者データの整備をし、主催者ニーズを充足させるユニークな価値を売り込むのが企画のポイントです。 　まず、第一に自分自身を知ること、そして主催者を知ること、競争相手を知ることが大事です。

マーケティング戦略の原点は、4C、4P、4Cと言われ、視点１として自分自身からの戦略で、Company Customer Co-operation Competitorの４C。視点２は製品・サービスからの戦略で、Product Price Place Promotionの４P。そして視点３の顧客志向の戦略でCustomer Value、Cost to the Customer、Convenience、Communication の４Cです。従来は最初の4Cと4Pだけの考え方でしたが、今、マーケティングの主流になっているのは、相手の立場に立って考えることで、最後の4Cも合わせて12の視点でチェックしてスタートすることが大切です。

従来のマーケティングはマネジリアル・マーケティングと呼ばれていましたが、今は関係性マーケティングの構造が主流となり、ステイクホルダーとの関係をいかに持続的に、長期的によい関係を作っていくかが企業発展の道であると考えられています。
　この考え方は都市にも当てはめられます。MICEマーケティングでも、都市が関与者の力をいかに引き出せるか、取り込めるかというのが、都市の競争力を作り出し、維持・拡大につながることになります。

この新しいマーケティングの考え方には２つの原則があります。一つはインターナル・マーケティング。簡単に言うと従業員を大切にするという会社・企業の内部へのマーケティング。そしてもう一つがライフ・タイム・バリュー、生涯価値です。一度お客様を獲得したら手放すなということです。

また、都市間競争だけを視野に入れて考えていてはだめで、MICEに代わるネット上のConventionなどの代替え品も必ず出てくることを考えておくことが大切です。

都市が競争市場環境の中で優位に立つためには、自らの位置を的確に見極めなければなりません。 都市のMICEマーケティング戦略には２つの道があります。内部戦略と都市のMICE力の強化。

札幌の強みは何か、弱みは何か、今世の中はどのように動いているのか、もしMICEのある分野に力を入れたらとどんなリスクがあるのかなど分析するSWOT分析を行い、自分を知ることで、ポジショニングが明確になります。

強みをきちんと把握し、弱みも把握し、自分自身の内部環境を把握する。それから市場全体、世界全体の流れの中でどういう機会があるのか、脅威があるのかを知ることです。これによって自分を市場の中に位置づけ、戦略が明確になってきます。

企画書の作り方の基礎です。

まず、何のための企画なのか、目的を明確にします。次に論理的に解決策、あるいはアイデアを考えることです。アイデアには新規性、差異性その上に実現性が必要です。そして立案したものを企画書や計画書で表現します。計画は実現するための方法や手段・手順をくみ立てることです。

アイデア発想法では、オズボーンのチェックリスト法という「転用、応用、拡大、縮小、変更、代用、入替、逆転、結合」という９つのアイデアの出し方があります。これは活用できると思います。またブレーンストーミングには、批判禁止、自由奔放、他人のアイデアに便乗する、量を求めるという4つのルールがあります。それからMICEの企画を立てるときには、６W２Hの企画の要素をはっきりさせることです。

立案プロセスには、最初にアイデア発想プロセスがあります。そして分析、発想、構想、表現です。問題を分析し、情報を収集し加工し、アイデアのコンセプトを明確にし、それを構造化するのが企画で、文書化するのが企画書です。 企画書の基本構成は最近はピラミッド型論述が主流で、最初に結論、主たるメッセージを述べ、背景を言って全体の論理構成をしていきます。